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将棋を知らない人にも(たぶん)分かる 羽生竜王の別格さ

※完全に趣味の話です。

 

 今年の初めに羽生さんが永世七冠達成により国民栄誉賞を受賞しました。
 他に将棋の棋士を知らなくても、羽生さんは知ってるという人は多いと思います。
(最近だとひふみんこと加藤一二三九段や、藤井聡太六段も有名になってはきていますね。)
 羽生さんの別格さについて、将棋界のシステムを知らない人向けに簡単に解説します。

実績1:タイトル獲得通算99期

 まずはこれです。棋士のタイトル獲得数ランキングです。()内はタイトル戦登場回数です。
 引退した棋士も含みます。堂々の一位です。
 このランキングを見ても分かる通り、ひふみんも実績は超一流です。(他にも歴代第三位の勝ち星など)

wikipediaから↓もってきました。

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 これを見ても、「そもそもタイトルって何?」という疑問があると思います。
 ちょっと長くなりますがまずはここから解説します。

 将棋界には、現在八つ(名人、竜王叡王、王位、王座、棋王、王将、棋聖)のタイトルがあります。
 叡王は今年から追加されたので、それまでは七つでした。このタイトルを取った回数が99回ということですね。

 では、タイトルを取るとはどういうことでしょうか。簡単に流れを説明すると、
・タイトル戦ごとに予選を行い、優勝者が挑戦者となります。
・挑戦者とタイトルホルダーが戦い、勝った方が新たなタイトル獲得となります。
・これをタイトル毎に毎年やります。
 ボクシングでいうフライ級とかミドル級とかみたいな感じですかね。ちょっと、というか割と違いますが。あくまでイメージとして。

 永世七冠を達成した竜王戦を例にもうすこし詳細に説明します。
竜王戦の場合は全棋士が1組~6組に別れ、各組ごとに予選(いわゆるランキング戦)がまずあります。羽生さんは1組(16人中5人が決勝トーナメント進出)に在籍していました。トーナメント決勝で負け、1組ランキング戦で準優勝、決勝トーナメントに進出しました。その後決勝トーナメント(1組~6組の上位者によるトーナメント)でも勝ち抜き、竜王戦の挑戦者となりました。
 この様に、まず挑戦者となるために、全棋士(だいたい170人くらい)の予選を勝ち抜かないといけません。

 挑戦者となったので、当時竜王だった渡辺明竜王と七番勝負(先に4勝した方が勝者)を行います。タイトル戦は全国各地を回りながら、3ヶ月ほどかけて行われます。
 去年の竜王戦で羽生さんが4勝1敗で勝ち、新たな竜王となりました。
 これでタイトル獲得1期です。

 またタイトルホルダーとなった羽生竜王は、今年の竜王戦で挑戦者を待ち受ける立場となります。
 これに勝ってもタイトル獲得1期です。

 タイトル毎に予選のシステムがトーナメントだったりリーグ戦だったり、シード権があったり持ち時間が違ったりしますが、流れとしてはこんな感じです。
 タイトルを1回取るためには、「全棋士が参加する予選で優勝し」「タイトルホルダーに番勝負で勝つ」必要があります。
一部の棋士は毎年の様にタイトルを獲得していますが、ほとんどの棋士にとってはまず挑戦者になるだけでかなりのハードルの高さであり、挑戦者になってもさらにタイトルホルダーに勝たないといけません。相当な難易度です。

 実際にプロ棋士のシステムがある程度確立してから現在まで、棋士は314人いますが、一回でもタイトルを獲得したことのある棋士は39人です。またタイトル獲得経験がなく、タイトル戦に登場したことのある棋士は32人です。
 棋士にとっては、タイトル戦は夢の舞台。しかし一回もタイトル戦に登場できずに引退する棋士の方がはるかに多いです。

 タイトルを一回取るだけでもこれだけ大変なのに、羽生さんは名人戦の挑戦者となり、現在タイトル100期を目指し佐藤天彦名人と戦っています。
 一人だけ別世界と言っていいくらいの実績です。


実績2:王座戦連続19連覇

 タイトルは先程挙げた八つあると言いましたが、特に羽生さんが相性がいいのが王座戦です。
 22歳の時に福崎文吾九段から王座を奪取し、その後なんと19連覇しました。挑戦者としてその時一番勢いのある棋士を相手に、19年連続で王座を守ったのです(中には6年連続ストレート勝ちも)。おそらくこの後ずっと更新されないであろう記録です。

 ※20連覇は渡辺竜王(当時)に阻止されましたが、次の年にすぐ挑戦者として勝ち上がり、3勝1敗で王座を取り戻しました。その後さらに5連覇しましたが、去年中村太地六段(当時)に負け王座を奪われました。

実績3:NHK杯4連覇(&通算10回NHK杯優勝)

 これもおそらくずっと更新されないであろう記録の一つです。NHK杯とは日曜朝にEテレで放送されているNHK杯将棋トーナメントのことです。

 こちらはタイトル戦ではないので、優勝しても次の年は一回戦からの参加となります。優勝するためには5連勝が必要です。
 羽生さんは負けたら終わりのこの一発勝負のトーナメントを4連覇したことがあります。(次の年も準優勝し、連勝記録は24まで伸びました。)

 羽生さんはNHK杯と相性が良く、約30回NHK杯に出場し、10回優勝しています。これも歴代一位です。
 ※ちなみにひふみんは歴代三位となる7回優勝しています。これも圧倒的な実績ですね。

 

 これ以外にも色々あるのですが、わかりやすいデータとしてはこんなところです。
 当然実績だけでなく、歴史に残る妙手の数々や様々なエピソードなどあるのですが、今回は数字で説明できる範囲を挙げました。
 藤井聡太六段はプロになったばかりですが、どれだけ羽生さんの記録に迫れるかが注目ですね。

 

※ここに出てくる数字は全て2018年5月現在のものです。細かい箇所で間違っていたらごめんなさい。