少し昔の本ですが。
コメンテーターなどとして活躍している長島一茂さんの自伝。発売は2001年なので、だいぶ昔ですね。現役引退が1996年なので、引退して少し経った時点での自伝です。
私はプロ野球選手としての長嶋一茂さんを知らないので、バラエティ番組に出ている印象しかなかったですが、テレビで見る「天然で明るいキャラ」の裏に、どれだけ「たまたま父親が長嶋茂雄だった」ことによる苦悩があったかのかが長々と綴られています。
自分の実力とは関係なくマスコミに追い回され、チームメイトと関係を築けなかったリトルリーグ時代。監督・コーチ・評論家から無数のアドバイスをもらい、消化できずにノイローゼになってしまうプロ時代。
アメリカ留学で打撃、守備共に向上するも、怪我により、巨人の監督をしていた父親から自宅で戦力外通告を受け。父親から「未練はないよな」と聞かれた時に、強がって「ない」と答えるも、本当は今でもグラウンドに戻りたいという気持ち。その気持ちを抱えて、コメンテーター、俳優として前向きに生きるのは本当に強い人だなと思いました。
実力以上に注目され、もがき続ける闘いの様子は、心を打たれました。
「敗者だからこそ見えるものがある」という一節は、この本を読んでからは大変重く感じます。
ぜひ読んで欲しい一冊です。