おすすめ度は★5です。これはいい本でした。
元プロ野球選手、そして今はプロ野球のコーチをしている吉井理人さんの本です。
自分の体験だけでなく、理論的にどういった手順で教えるのがいいのか、どういった分類に分けて考えればいいのかなども書かれており、大変分かりやすかったです。
一番心に残ったエピソードは以下です。
・投手コーチ時代に、投げる球はいいが安定感のない投手がいた。
・筆者がその投手に「試合では120の力で投げているから安定しない。普段60くらいの力で投げれば、試合で力んで100になってちょうどいいのでは?」とアドバイスをした。
・力を抜いた結果、その投手は試合でも30くらいの力で投げ、試合で面白いように打たれた。
・筆者は「このアドバイスは向いていないから、明日から元に戻そう」と話した。
・しかし投手は元の投げ方に戻れず、その2年後には解雇された。
コーチのアドバイス一つが選手の将来を大きく左右するという、大変怖いエピソードです。
では何が悪かったのか?どうすればよかったのか?
といった内容を簡潔にまとめると、
・自分の体験に基づく言葉ではなく、相手に伝わる言葉を使わなければならない
・どういった言葉が伝わるのかは相手によって全く違う。その相手の感覚を理解する為に、選手から言葉を引き出す。
です。
上記の内容は、多くの人の参考になるのではと思います。
意識しないと、自分の体験を自分の言葉で話すだけになりがちですが、それではよくないと。かつ、普段から相手とコミュニケーションを取らないと、相手の感覚を理解できないと。
これ以外にも、具体的なコーチ体験で困った内容に対しての、理論的にベターな考えや答え方というのが載っており、読みやすく理解しやすいです。
何回も読み直したい一冊でした。