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思ったことを色々書きます。

「陰謀の日本中世史」を読んだ感想/人は信じたいことを信じる

「人は真実を信じるのではない。信じたいことを信じるのだ。」

↑ずっと昔にやったゲームに出てくる言葉で、好きな言葉です。

 

 

この本は、日本史における陰謀論本能寺の変の黒幕は誰か。誰が明智光秀と共謀したのか。など)について紹介しつつ、世にはびこる陰謀論がどういった理由で可能性が低いか(100%否定している訳ではないが、ほぼあり得ないと言っている)を説明しているものです。

私は日本史に対しての基礎知識があまりなく、鎌倉幕府の話などは興味が持てず本能寺の変以降のみ読みましたが、大変面白かったです。

 

「なぜ陰謀論が人気なのか」というものは、興味深い内容でした。端的に言えば、「人は分かりやすい因果関係を求める」というもので、これは歴史の陰謀論以外にも、汎用性の高い考え方だと思います。

 

作り話ではない、現実の問題に対して、要因は複雑に絡み合っています。例えば、環境問題について。政治も戦争もそうです。

当然、「温暖化も異常気象も、いっぱい樹を植えれば全部解決します!」みたいな、シンプルで分かりやすい答えはありません。しかし、実際はこのような、要因は一つであり、それさえ解決すればすべてよくなる、と考えている人がたくさんいるように感じます(特に政治について)。

目の前の問題に答えがすぐに出なくても、「これは難しい問題なんだ」として、保留できるかどうか。それらしい安易な考えに飛びつくのか。いわゆるリテラシーの問題といいますか、この能力がさまざまな(間違ったものも含む)情報で溢れる今に求められている、と感じました。

 

冒頭のセリフはまさにそうで、Aという情報とBという情報の2つの相反する情報を与えられた時に、「それっぽいからA」「自分に近いからB」とするのではなく、一次ソースを調べたりするのが大事だなと。改めて思いました。

現実はセンセーショナルな記事がひたすら拡散されていますが…あまり流されないようにしようと。

 

この本は大変おすすめです。日本史の知識がある程度あればより楽しめると思いますが、そうでない方でも十分楽しめると思います。